2014年上半期の中国3大携帯電話キャリア(移動・聯通・電信)の財務報告を読む

中国3大携帯電話キャリアである中国移動通信(China Mobile)、中国聯通(China Unicom)、中国電信(China Telecom)の2014年上半期(1~6月)の財務報告が出揃いました。

どのような結果だったかを1社ずつ見ていきましょう。

中国移動通信

china_mobile_logo
  • 営業収益:  3247億元(約5兆3575億円、前年同期比7.1%増)
  • 純利益: 577億元(約9520億円、前年同期比8.5%減)
  • モバイルユーザー数: 7億9000万

ユーザー数は2013年末から2341万増と順調に伸びています。中レベル以上の顧客を安定して持っています。企業ユーザーも327万社と収益に大きく貢献しています。

2014年上半期のTD-LTE(4G)・TD-SCDMA(3G)スマートフォンの販売台数は1億2000万台で、もともと5億以上を有しているGSM(2G)ユーザーがこれからどんどんと3Gおよび4G契約へ転換していくことが期待されます。

また、4G契約数は7月末時点で2043.7万人まで増加。7月始めに公開したコラムを書いた際の5月末時点のデータでは810.9万人でしたが、既に2.5倍の爆発的な伸びを見せています。年内の4G契約目標を5000万に置いていることから、下半期は更なる収益が見込めそうです。

2014年上半期の通信サービス総収入は2979億元(約4兆9154億円、前年同期比4.7%増)、そのうちデータ通信サービス収入は1219億元(約2兆114億円、前年同期比27.8%増)で通信サービス総収入に占めるデータ通信サービスの比率は40.9%までを占めるようになりました。

更にデータ通信サービス収入のうちの無線LANサービス(ポケットWi-FiやUSBスティック接続インターネット)収入は720億元(約1兆1880億円、前年同期比51.8%増)で通信データ量が爆発的に増加しており、4G・LTEの普及と合わせて通信インフラに経営資源を投入することが期待されます。

ここまで順調な結果ばかりを並べてきましたが、1点懸念しなければいけないのは、純利益の減少です。要は営業費用が多いということを示しています。

中国移動に限らず、どこの通信キャリアもやっていることですが例えばキャリア24ヶ月縛りのiPhone5Sを売るとして、5000元で販売する端末に5000元分の通話料キャッシュバックをつけるというようなことをやっています。

お分かりだと思いますが、そういったキャンペーンは5000元分得るはずだった利益を削っているということです。

そのような営業費用がかさんだため、利益を圧迫しました。

当然ながら中国移動はよく理解しており、近頃中国移動の取締役会長の奚国華氏は、今年の年間目標として総額200億元の営業費用の削減を打ち出しています。そのうち携帯電話販売に関する営業費用を2013年の340億元から210億元と130億元の削減を目指しているようです。ただし既に2014年上半期携帯電話の営業費用を153億元支出しているので下半期はかなりのセーブが求められているようです。

中国聯通

china_unicom_logo
  • 営業収益: 1534.6億元(約2兆5321億円、前年同期比3.3%増)
  • 純利益: 22.2億元(約366.3億円、前年同期比25.8%増)
  • モバイルユーザー数: 2億9500万

ユーザー数は2013年末から1402万増、総ユーザー数に占める3Gおよび4G契約の比率が47.7%を占めるようになりました。

純利益が前年同期比で大幅に伸びていますが、中国移動と同様に営業費用の削減によるもので、例えば2014年上半期の端末キャッシュバックコストが33.32億元で前年同期比で8.88億元の削減に成功しています。

ただし、中国聯通は4G・LTE展開で明らかに遅れを取っているのが否めない点、そして中国ではじわじわとMVNO(物理的な移動体回線網を自社で持たず、保有している他の事業者からの再販を受けて、自社ブランドで通信サービスを展開する事業者)のサービス展開が始まっていて、もともと中国聯通を支えていた高級人材が相次いでMVNO業者へ転職しているという点が挙げられます。

これらは営業収益を伸ばすためには少なからずマイナスに作用すると見られ、2014年下半期の聯通の業績は決して楽観視できない状況にあるようです。

これまで16都市で試験サービス運用していたFDD-LTEが8月28日に
北京、天津、蘇州、青島、東莞、大連、寧波、長春、海口、太原、南寧、煙台、厦門、昆明、合肥、貴陽、洛陽、唐山、フフホト、楡林、蘭州、西寧、南昌、銀川 の24都市の追加が中国情報化部から承認されたので、ここからどのように反撃できるかでしょう。

中国電信

china_telecom_logo

 

  • 営業収益: 1659.73億元(約2兆7386億円、前年同期比5.3%増)
  • 純利益: 114.36億元(約1887億円、前年同期比11.8%増)
  • モバイルユーザー数: 1億8024万

モバイルユーザー総数は534万の純減と伸び悩みました。

月別では、2月に22万純増したのを除いて、1月・80万、3月・180万、4月・103万、5月・95万、6月・98万の純減と大きく減る結果でした。

しかし、期間外の2014年7月単月では20万の純減に留めています。

これらユーザー数の減少は、GSM(2G)ユーザーの減少が大きく響いており、3Gユーザーは上半期で413万の純増を達成しています。3Gユーザーが占める比率は60%にものぼっています。

また、7月から中国16都市で始めたFDD-LTEとTD-LTEのキャリアアグリゲーション試験サービスにて約1ヶ月で60万のユーザーを獲得しています。

これは、同サービスに対するユーザーの期待の表れと解釈しても良いでしょう。

8月28日には、更に24都市(北京、天津、広州、佛山、東莞、福州、厦門、泉州、長沙、昆明、ハルピン、長春、貴陽、瀋陽、太原、フフホト、銀川、西寧、蘇州、無錫、南通、寧波、温州、金華)の試験運用が認可され、より勢いが増しそうです。

2014年末と見られているFDD-LTEの正式営業ライセンスが発効された後はユーザー数の伸びとそれに伴う営業収益の増加が期待されます。

ここまで3社の結果から映しだされたものについて解析してきました。

勢いは4G・LTE加入数が爆発的に伸びている中国移動にありますが、これまで存在感が薄れていた中国電信のこれからの可能性に明るい光が挿し込んできているように見えます。

一方、3Gでは優位を保っていた中国聯通に今後不透明要素が見え隠れしているのが気になります。

(個人的なことですが、中国聯通のSIMを3番号今も契約している立場から見て)

2014年下半期は4G・LTEを中心に更に激しい変化が起こりそうで、各社がどのような成績を出すのか個人的にはワクワクしています。

参考URL:

http://tech.qq.com/a/20140814/040472.htm

http://money.163.com/14/0811/00/A3B2139O00253B0H.html

http://tech.sina.com.cn/t/3g/2014-08-28/02039581170.shtml

http://www.ithome.com/html/it/100786.htm

この記事を書いた人

増山智明

増山智明

1975年北海道生まれ、2005年に語学を全く勉強せずに、単身中華人民共和国に渡航。 しかし、渡航1ヶ月未満で日本語が分からない中国人女性と出会い、中国語がたどたどしいのに更に5ヶ月後にスピード入籍。度胸があればなんでもできちゃう!? 中国では外資系ウェブ関連企業にて勤務していたが退職して、2014年5月に日本帰国。これから妻と2歳の双子の男の子を抱えてどうする??仕事依頼お待ちしています!

新着コラム